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KNOWLEDGE 不動産豆知識

2026.10.06

所有している空き家の老朽化リスクとは?放置のペナルティと対策

所有している空き家の老朽化リスクとは?放置のペナルティと対策

「実家を相続したものの、遠方にあってなかなか管理ができない」「ボロボロの空き家をこのまま持っていて大丈夫だろうか」と不安になっていませんか。空き家を老朽化したまま放置すると、近隣トラブルや思わぬ事故につながるだけでなく、法律の改正によって固定資産税の優遇が外れるリスクもあります。この記事では、空き家を放置する具体的なリスクと、これから取るべき正しい対策について分かりやすく解説します。

所有している空き家の老朽化を放置する3つの実害とトラブル

空き家をメンテナンスしないまま放置すると、建物の崩壊や害虫の発生、治安の悪化といった深刻な実害が起こり、周囲へ多大な迷惑をかけることになります。

建物自体の倒壊や屋根瓦の飛散による危害

木造の空き家は人が住まなくなると傷みが一気に加速し、特に1981年以前の旧耐震基準で建てられた家屋は地震や台風への耐性が不十分です。強風によって屋根瓦が剥がれ落ちたり、外壁のモルタルが崩れたりして、通行人に当たれば大けがをさせてしまう危険性があります。さらに、建物そのものが道路側へ倒壊したり、隣家へ倒れ込んだりする事故も現実として起こり得ます。

自分の敷地内だからと放置していても、一たび自然災害などで建物が破損し被害が出れば、所有者としての責任を問われることになります。遠方に住んでいて普段の様子が分からないからこそ、台風や地震の後にどのような被害が出ているか想像以上のリスクが潜んでいることを意識する必要があります。

シロアリや悪臭、害虫の大量発生

誰も住まない家は空気の入れ替えが行われず、水回りも乾燥していくことで配水管の封水が切れて下水からの悪臭が室内に充満します。また、湿気がこもりやすい床下や柱にはシロアリが好む環境が整いやすく、知らないうちに木材が食い荒らされて家の強度がさらに低下していきます。

放置された庭の雑草が生い茂るだけでなく、ネズミやハクビシン、ハチなどが住み着くことで、近隣の住宅へも害虫や悪臭が広がる原因になります。衛生面での環境悪化は近隣住民との深刻なトラブルに発展しやすく、苦情が役所や警察に寄せられるケースも少なくありません。

放火や不法侵入といった治安悪化のリスク

人の出入りがない古い家は、鍵の掛かりが甘かったりガラスが割れていたりして、不審者が簡単に侵入できる状態になっていることがよくあります。敷地内にゴミが放置されると、それがさらなる不法投棄を呼ぶ温床となり、地域の美観や衛生状態を著しく損なうことになります。

特に危険なのが放火であり、燃えやすい木造の空き家は格好のターゲットにされやすく、一度火がつけば周囲の住宅をも巻き込む大火事に発展しかねません。このように、管理が行き届いていない空き家は、犯罪の隠れ家や不法投棄の場所として利用され、地域全体の治安を揺るがす大きな社会問題へとつながっていきます。

見逃せない法的責任と固定資産税が跳ね上がる仕組み

空き家の管理不足は、個人の問題にとどまらず、法律上の重い責任や金銭的ペナルティを伴う深刻な問題です。ここでは、改正された法律による税金の負担増や、所有者が負うべき損害賠償責任について詳しく解説します。

管理不全空家等の指定と固定資産税の増税リスク

空き家の適切な管理が行われておらず、放置すれば周囲に悪影響を及ぼす状態にあると市区町村が判断した場合、新しく設けられた「管理不全空家等」に指定されることがあります。これまで問題視されがちだった「特定空家等」の一歩手前の段階であり、そのまま改善が見られないと行政から指導や勧告が行われます。

この勧告を受けると、長年適用されてきた住宅用地の課税標準の特例が解除されるのが大きな特徴です。特例が外れると、これまで優遇されていた土地の固定資産税が最大で約6倍に跳ね上がる仕組みになっています。昔の感覚でボロボロの家をそのまま所有し続けることは、税金面で非常に大きな金銭的負担を抱えるリスクを伴います。

民法第717条に基づく所有者の損害賠償責任

老朽化した空き家の管理を怠った結果、第三者に損害を与えた場合、所有者は法律に基づいて重い責任を負うことになります。民法第717条では、土地の工作物の占有者および所有者の責任が定められており、建物の欠陥や老朽化が原因で事故が起きたときは、まず所有者が損害賠償責任を負わなければなりません。

例えば、台風で屋根瓦が剥がれて通行人に大怪我をさせたり、外壁のコンクリート片が落下して車を破損させたりしたケースが該当します。この責任は非常に重く、所有者に故意や過失が明確に認められない場合であっても、工作物の保存上の瑕疵として無過失責任に近い責任を問われることがあります。日頃から建物の状態を把握し、安全性を維持していないと、ある日突然高額な賠償金を請求される事態になりかねません。

遠方に住んでいて知らないでは済まされない現実

実家を相続したものの、現在は遠方に住んでいて実家の状態を長年確認できていないという人は少なくありません。「自分は遠くに住んでいて状況を知らなかった」「実家に行く時間がない」という言い訳は、法律や行政の手続きにおいては通用しません。空き家の所有者である以上、物理的な距離に関わらず建物を適切に維持管理する義務は常に発生し続けます。

行政からの指導や勧告、さらには近隣住民からの苦情の手紙などは、住民票のある現住所や実家に届きます。それを放置し続けていると、事態がさらに悪化した段階で突然重いペナルティを課されることになりかねません。遠方に住んでいるからこそ、定期的に現地の状況を確認する仕組みを作ったり、専門の管理サービスを利用したりして、見えないリスクを放置しない姿勢が求められます。

空き家の放置に関するよくある誤解と注意点

昔の感覚のまま空き家を持ち続けていると、法改正や制度の変更に気づかず、想定外の出費や深刻なトラブルに巻き込まれる恐れがあります。ここでは、所有者が陥りがちな代表的な2つの誤解を紐解きます。

ボロい家でもこれまで税金が変わらなかったから大丈夫という誤解

「実家が長年古びた状態だったが、これまで固定資産税が跳ね上がったことはないから今後も大丈夫」と考えていないでしょうか。昔は、建物が完全に崩壊する直前のような状態にならなければ、税金の優遇措置が外れることはほとんどありませんでした。そのため、放置していても税金面では大きな負担を感じにくかったのが実情です。

しかし、改正空家法が施行された現在では、判断基準が大きく変わっています。倒壊していなくても、手入れがされずに放置されて周囲に悪影響を及ぼす恐れがあると判断されると、「管理不全空家等」に指定されます。この指定を受けると、自治体からの指導や勧告に従わない場合に固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が跳ね上がることになります。昔の感覚のまま「まだ住める状態ではないから大丈夫」と放置するのは非常に危険です。

更地にすると税金が上がるから持っていた方が得という思い込み

「建物を壊して更地にすると固定資産税の特例が使えなくなって税金が6倍になるから、ボロい家でもそのまま残しておいた方が得だ」という話を聞いたことがあるかもしれません。確かに、住宅が建っている土地には固定資産税の軽減措置が適用されますが、だからといって管理できない空き家を持ち続けることが常に正解とは限りません。

確かに建物があることで税金は抑えられますが、次のようなトータルの金銭的負担を考慮する必要があります。

  • 管理不全空家等に指定されて特例が外れた場合の高額な固定資産税

  • 倒壊や屋根瓦の飛散によって近隣住民へ損害を与えた場合の賠償金

  • 定期的に現地へ通うための交通費や、草刈りなどの維持管理費用

  • 将来的に売却や解体を行う際にかかるトータルのコスト

税金が安いという理由だけで放置し続けた結果、これらのリスクが顕在化してかえって大きな出費を招くケースが多々あります。目先の税金だけでなく、総合的な負担を見据えて判断することが重要です。

老朽化した空き家に対して所有者が取るべき出口戦略の選び方

老朽化した空き家を放置せずリスクに対処するには、今後の活用方針を早めに決め、管理や売却、解体の中から最適な出口戦略を選ぶことが重要です。

定期的な管理やメンテナンスを継続する基準

将来的に自分が住む予定がある場合や、子どもに引き継ぐまでの間は、定期的な管理やメンテナンスを継続することが選択肢になります。ただし、遠方に住んでいる人が片道何時間もかけて定期的に通い、庭木の剪定や室内の換気、通水などを継続して行うには大きな負担が伴います。以下の状況に当てはまる場合は、自分で管理を続ける基準を満たしているといえます。

  • 自宅から車や電車で無理なく通える距離にあり、定期的に自分の目で建物の状態を確認できる

  • 定期的な草刈りや修繕にかける時間と、年間を通した維持費用の予算を確保できている

  • 建物の構造自体に致命的な傷みがなく、簡単な手入れで良好な状態を保てている

これらの条件が揃わない場合は、セルフ管理を無理に続けるのではなく、管理会社や代行サービスへの委託を検討するか、手放す方向への切り替えを考えるタイミングといえます。

売却や賃貸活用を検討すべきタイミング

誰も住む予定がない空き家は、老朽化がさらに進んで資産価値が下がる前に、売却や賃貸活用を検討するのが賢明な選択です。特に建物がまだ比較的きれいな状態であれば、そのまま売却したりリフォームして賃貸物件として貸し出したりできる可能性が高まります。不動産会社へ早めに査定を依頼し、現在の市場価値を把握することが大切です。

周囲の需要が高く買い手がつきやすい地域にある場合や、これ以上維持費や固定資産税を払い続ける負担を減らしたい場合は、早めの売却が最善の対策となります。賃貸活用を選ぶ場合も、入居者募集の期間や修繕費用の初期投資を考慮した上で、専門家と相談しながら収支が見合うかどうかを慎重に見極める必要があります。

解体(除却)を選択してリスクを断ち切る判断

建物の傷みが非常に激しく、大規模な修繕をしなければ住めない状態の空き家は、思い切って解体して更地にする選択がリスクの根本的な解消につながります。倒壊の危険性や不法侵入、放火といった防犯上の心配、さらには民法に基づく損害賠償責任の不安を一挙に断ち切ることができます。買い手がなかなか見つからない物件においても、更地にすることで土地としての売却活動がしやすくなるメリットがあります。

一方で、建物を解体して更地にすると、これまで適用されていた「住宅用地の特例」が外れ、翌年から固定資産税の負担が跳ね上がる点には注意が必要です。そのため、ただ解体するだけでなく、解体費用と今後の税負担のバランス、その後の土地活用のしやすさを総合的に比較した上で、慎重に判断を下すことが求められます。

まとめ:所有している空き家の老朽化リスクに備えて早めの決断を

空き家の老朽化を放置することは、思わぬ法的責任や税負担の増加を招く大きなリスクとなります。現状を正しく把握し、手遅れになる前に方針を決定することが大切です。

放置せず現状を把握することの重要性

遠方に住んでいてなかなか見に行けない場合でも、まずは写真や現地の状況確認から始めて現在の建物の傷み具合を正確に把握することが重要です。先延ばしにするほど問題は深刻化するため、早めにリスクを直視して対策を講じましょう。

専門家への相談や次のステップへの行動

ご自身だけで判断が難しいときは、自治体の窓口や地域の不動産会社などの専門家に相談して具体的な解決策を見つけることが次のステップにつながります。売却や管理、解体などの選択肢の中から最適な方法を選び、一歩を踏み出しましょう。

不動産の相続や土地の相続に関するご相談は、不動産の相続のページで承っています。

監修者情報

公開日:2026.10.06

高木いおり

高木いおり

代表の私は1964年、春日井市で生まれ育ち、居住しております。 地元の、いずみ幼稚園、神領小学校、東部中学校、春日井高校、名古屋大学 医療技術短期大学部看護学科(現、医学部保健学科看護科)卒で、宅地建物取引士と看護師免許も持っています。

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